相手を正したいときは
「私ならこうする」と言え

 前述の「イエス・バット」は相手の主張に反論するときに役立つフレーズ。では、相手の言動を正したいときは何と言うべきか?

 相手が間違った行動を取ろうとすると、「そんなことをしてはダメだ。そうではなくこうすべきだ」などと、つい頭ごなしに否定したり、相手を責めるような言い方をしてしまうことがある。

 人はみな、プライドを持って仕事をしている。交渉の際も同じだ。相手のプライドを傷つけるような言い方をすれば、相手は自分の立場を守ろうとして、あなたに反発する。かたくなにあなたを拒むようになり、交渉がスムーズに進まなくなってしまうだろう。

 こうした事態を防ぐために、相手のミスや間違いを指摘するときは「You should(あなたはこうすべきだ)」ではなく「I would(私ならこうするだろう)」と言うべき。

「あなたはそれがふさわしい行動とお考えかもしれませんが、私なら別のやり方を選ぶと思います」という言い方だ。

 自分を主語にすることで、相手を非難するようなニュアンスを消すことができる。相手のプライドを尊重しながら、ミスや間違いをやんわりと指摘したり、相手の言動を修正してもらうことができるのだ。

 そういう私自身も、大橋&ホーン法律事務所を立ち上げたばかりの頃は、それがわかっていなかった。