読者のみなさんは、この例を特殊な例とお感じになるかもしれない。しかし、似たような事例は日本全国に枚挙にいとまがない。

支社人事のキメ台詞
「本社の指示ですから従ってください!」

「本社からの指示がありましたので、業績管理制度を導入します」「本社からの通達に基づき、新しい教育制度を展開します」 誰もが何度も耳にしている、人事部からのお知らせである。

 ビジネス部門が「導入の目的は何ですか?」と問えば、「本社の指示ですから」という答えが返ってくる。「この制度は、私たちの支社には合致しない部分があるのでは?」と質問をしようものなら、「私も合致しないと思うのですが、本社の指示ですから従ってください」と言われる。

 こうしたやりとりが発せられた時点で、この人事制度導入は失敗に終わっている。制度導入の旗振り役が、「本社に言われたから」と説明していたのでは、制度が浸透せず、活用されないのは、導入する前から見えているからだ。

 本社全体のフレームワークが、個別の支社の実情に完全に合致しないのは、当然のことだ。支社のメンバーが、真剣に制度内容の説明を聞けば聞くほど、本社の制度説明に違和感を持ってあたりまえだ。それを無視して、本社が決めたことだから従えと言い切ることに、人事部の傲慢さ、無責任さ、社内顧客志向の欠落を感じずにはおれない。

本社と支社のギャップ解消のために
支社にできることは?

 本社と支社のギャップを埋める問題は、本社が柔軟でないと解決されない、本社自体の問題だと思われがちだが、実は、支社側の裁量の中でも、解決できる余地が大いにある。