マイホーム購入の資金計画の相談を受ける際、最後に「名義」についてアドバイスするようにしている。すべての資金を1人で負担するなら、負担した人単独の名義でいいのだが、複数の人でお金を出し合ったときには、共有名義で登記する必要があるからだ。
たとえばマイホームの取得費が4000万円で、頭金などを夫と妻が400万円ずつ出し合い、3200万円の住宅ローンは夫名義というケース。この場合、夫の持ち分は4000万円のうち頭金とローンで3600万円を負担するので10分の9、妻は残りの10分の1となる(下の図参照)。ポイントは、「頭金を含め、資金を負担した割合に応じた持ち分で登記する」こと。
「夫婦は平等」は
税務署には通じない
現状にあわせるといいだけなのだが、思いこみや勘違いされている方が少なくない。勘違いの例をいくつか見てみよう。
【ケース1】
「夫婦は平等だから、仮に夫がすべての資金を負担したとしても、夫と妻は2分の1ずつの持ち分であるべき(このように考えるのは、なぜか妻)」
たしかに夫婦は人間として平等であるが、税務上はそれでは通じない。妻が資金を負担していないのに持ち分があると、夫から妻への贈与があったとみなされ、金額によっては贈与税がかかることを知っておこう。
【ケース2】
「妻は独身時代の貯金から頭金を出したのに、妻は“私は専業主婦だから”という理由で、名義を夫100%の持ち分で登記した」
この勘違いは意外に多い。持ち分は、住宅ローンを誰が組むかだけで考えてしまうようだ。冒頭に挙げた例のように妻が頭金を一部出すなら、その分を妻の持ち分にしなくては、これまた贈与の対象となる。
逆に頭金の負担割合だけで、持ち分を決めてしまった間違いもあった。取得費が分母で、出した頭金と負担したローンの金額の合計が分子となると覚えておこう。