今回はやや地味な話題を。この4月の『後期高齢者(長寿)医療制度』のスタートが大きな噴出口となって、社会保障、そして密接に繋がる税金の問題が、注目を集めています。年金・医療・介護などの社会保障や社会福祉の実施には、保険料や自己負担もありますが、税金も非常に大きな財源となっています。
少子高齢化が進むと、どうしても社会保障・社会福祉に要するお金は増えがち。しかし、国の懐具合(財政)がとても窮屈な中では、そういう支出も抑制する必要があると決められ(2006年・骨太の方針など)、毎年2200億円ずつの削減(単純に減らすという意味ではなく、2006年以前の制度のままだと自然に増えるであろうという予測分の削減)が行なわれています。
社会保障税源=消費税
に感じる違和感
後期高齢者医療制度自体は、それ以前の2004年・医療制度改定で決まっていた(小泉サンのやることならロクに考えもせず賛同する人が多かった)ことで、「いまさら」という気もしますが、この問題も絡め、「医療が崩壊する」「介護に携わる人にもっと報酬を」「年金はどうするんだ」(これも、マクロ経済スライド制が稼働し始めると大問題に発展するのでは?)等々の話と一緒になって、「削減はもう限界では?」「社会保障給付はむしろ増やすべき」といった見方が、何度かの主要な選挙の結果もあり、力を増しています。
この成り行きがどうなるかはわかりませんが、削減維持・増額のどちらにしても、財源としての税金の問題は避けて通れません。そして以前から、こういうときには条件反射のように必ず浮上するのが、「消費税(税率アップ)」の話です。
ここに来るといつも疑問に思うことがあります。先進諸国の中では最も悪いといわれる国の財政の問題や社会保障の問題を考えると、もっと多くの税収が必要であることはよくわかります。けれども、「消費税」の税率アップが唯一絶対のものなのかという疑問です。
温故知新。日本の消費税は「来るべき長寿社会に備える」という建前のもと、約20年前の1989(平成元年)4月に導入されました。重要だと思うのは、この前後から、所得税の最高税率の引下げや、税率の刻み数の削減、また、資産関係の税金や法人税の軽減が始まっていて、そのままの流れが今も続いていることです。