『ラップ口座』とは、株式や投資信託などの銘柄選択、売買、管理などを金融機関に一任するサービスである。ラップ(WRAP)とは、「包む」という意味の英語だが、1つの口座で様々な資産運用サービスを包み込むという意味でラップ口座と言われている。SMA=セパレートリー・マネージド・アカウントともいう。
手数料についても、個々のサービスや売買ごとに支払うのではなく、運用資産残高に応じた一定の率を一括して支払う。株式や投資信託などを何度売買しても、手数料は変わらない。株式等の売買委託手数料が規制されていた時は、売買のつど、所定の手数料を徴収しなければいけなかったために、このようなサービスは提供できなかった。手数料が自由化されたことによって誕生したサービスである。
運用資産残高に応じて報酬が支払われるので、運用がうまくいって顧客の資産が増えれば金融機関が貰える報酬も増え、運用がうまくいかなくて顧客の資産が減れば金融機関が貰える報酬も少なくなる。仕組みとしては、金融機関と投資家の利害が一致するサービスだといえる。
このラップ口座には、株式や債券などの個別銘柄を運用対象とするタイプもあるが、このタイプは適切な分散投資を図るために、最低契約金額が数千万円や数億円と大きくなっており、富裕層向けの商品だといえる。これだと顧客層が限られるので、投資信託だけを運用対象とする代わりに、最低契約金額を1000万円や500万円とする「投信ラップ(ファンドラップ)」が発売されている。
小口化が進む「投信ラップ」
投信ラップを提供している主な会社は次の通り。
このうち、野村証券の最低500万円以上のバリュープログラムは、この3月17日に追加されたものである。また大和証券では従来、最低契約金額を500万円としていたが、4月1日から300万円に引き下げた。新光証券でも最低2000万円以上から利用できる現物株式の組み入れも可能なラップ口座に加えて、投資信託だけで運用する代わりに最低500万円から申し込めるファンドラップを4月1日から始めた。