年度の変わり目でもあり、今回は2009年度の株式市場について考えてみたい。

 足元を見れば、日本の株価はここのところ随分回復した。日経平均で見ると、昨年末の8859円56銭から7000円すれすれにまで下がったものの、そこからの戻りは速かった。先週末の27日には一時、昨年末の水準にあとわずか16円余りにまで迫り、終値で8600円台を回復した。今年に入って下げた分をあらかた取り戻した。ちなみに、ニューヨークダウ平均株価(工業株)は年初の9034ドル69セントに対して、先週末は7776ドル18セントだった。米国株は大きく下げて戻りが小さい。日本株は、米国株との相対比較では戻りが大きい。

 日本の株価のリバウンドが本格的なものになるかどうかを考えるには、そもそもなぜ下げたのかを理解する必要があろう。第一には、米国株が下落する状況(米株価下落そのものと、米株価下落の原因の両方)に引っ張られたし、第二には日本経済の悪化、特に輸出減に起因する生産の悪化が当初想定していたよりも大きかったということだろう。では、こうした状況は変わったのだろうか。

 まず、3月末にかけての株価が上がったということに関しては、多少の作為を感じなくもない。公的年金の運用状況を考えると、これまでの株価下落で運用計画よりも株式の組み入れ率が下がっているだろうから、“リバランス”を名目にした株式の買い入れは、かなりの額可能だったはずだ。他方、報道によると、企業年金はこれ以上リスクを取れないということで、株式投資に対してどちらかというと消極的だったし、投資信託や個人が活発に買っていたという印象はない。日経平均が7000円を割らなかった様子と、期末にかけての株価の戻りの大きさ・速さを見ると、公的年金が日本株を買っていたのかも知れないという推測は出来る。リバランスなので、それ自体に問題はないが、こうした要因が入っているとすると、この種の買いは一時的なものだから、今回の戻りは、やや割り引いて評価する必要がある。

 ただ、改めて指摘するまでもないが、日本の株価は、中長期的な視点に立つと、米国の金融次第だ。特に大きなポイントは、先週23日にガイトナー米財務長官が枠組みを正式発表した不良資産の買い取りなどの一連の政策がうまく機能するかどうかだ。