安定稼働への地道な努力

 収益性が好転したのは、「安定高稼働」を実現できたからだ。

 これまで派遣していた製造ラインを担当する現場のオペレーターに加え、住友化学から新たにプラント全体を見られる管理者も投入した。これにより、トラブルが発生したとき、各現場が場当たり的に対応するのではなく、問題を俯瞰し、抜本的な対策を講じられるようになったのだ。

 住友化学は、今期予定する持分法投資利益230億円の多くをラービグで稼ぐ見込みだ。ラービグの第2四半期の当期利益は1億7197万サウジアラビア・リヤル(約46億円)。第1四半期より落ち込んだが、もともと予定していたメンテナンスで、工場を一時停止した影響などによる。もし見込み通りにいけば、かつて期待していたラービグの利益貢献「200億円」が見えてくる。

 ただ、それでも楽観はできない。過去に、四半期ベースで好調に利益を上げつつ、それを長続きさせられなかった“前科”があるからだ。

 実際、今月9日には「過去のトラブルと比較して影響は極めて小さい」(渡部貴人・モルガン・スタンレーMUFG証券アナリスト)ものの、再びトラブルが発生している。

 住友化学は12年にラービグの第2期計画(総投資額70億ドル)にも着手した。1期、2期合わせると、同社のラービグへの投資額は2660億円に上る見通しだ。住友化学の有利子負債は1兆円を超える。投資を回収し、財務体質を改善するためにも、まずは年単位でトラブルなく稼働させる「実績」が必要だ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)