住友化学社長 廣瀬 博<br />「ラービグ」事業は収支均衡へ<br />投融資より足場固めの年にPhoto by Kazutoshi Sumitomo

──2010年2月に中期経営計画を発表した。10年度(予想)の売上高1兆9500億円、営業利益720億円を、12年度にはそれぞれ2兆4000億円、1900億円に拡大する計画だ。

 今回の中計は、20年先の情勢を当社なりに予測し、10年後のビジョンを描いたうえで、最初の3年に何をすべきか盛り込んだ。変化の速い時代だからこそ、長期的視野が必要と考えたためだ。

 大きな方向性は、収益変動の大きな基礎化学・石油化学部門が赤字に陥ったときも、それを吸収してなお、成長し続けられる体制を築くこと。現在、基礎・石油化学の「バルクケミカル」の売上比率が4割強に上るが、医薬品や農薬などの「ライフサイエンス」、エネルギー関連や精密機器向け素材などの「ICT」を強化し、3分野が均等に稼げるかたちを目指す。

──ライフサイエンスやICTは、呼び方が違いこそすれ、各社とも強化中で競争は激しい。

 もちろん、技術の強み、事業のユニークさがなければ、勝てない。

 その点、たとえば医薬事業では、ニーズが高まりつつある(うつや統合失調症を治療する)中枢神経系や糖尿病、一部のガンに集中している。2月に米国で統合失調症治療薬を発売、対象疾患を拡大する治験も進めており期待している。

 農薬事業は、ユニークな新製品候補を揃えているほか、カやハエなどを駆除する家庭用殺虫剤は世界最大規模だ。一時的な不振で株価は低迷したが、回復できる。