何かのプロジェクトを立ち上げるにも、上に「お伺いを立てる」ための決済システムは複雑で、およそ多くの人の判子が必要だった。

 仕事の大半は、ジャッジと会議。しかも、作っているものは、社内システムだった。

「会社に行きたくない」

 日々の忙しさに加え、働きがいを感じられなくなっていた越智さんは、「うつ病」と診断され、ショックを受けた。会社を休職扱いとなり、自宅で眠り続けた。

 とにかく「起きていたくない。夢の中のほうが楽しい」と思った。

 結局、1年半ほどの休職を経て、会社を正式に退職。その後、職場に講演に来たことのある講師の会社に自分で転職したものの、長続きしなかった。

ひたすら眠り続ける日々
5日間スポーツドリンクのみで死の一歩手前に

 寝ている時間は、一瞬で過ぎていく。午後10時頃眠って、起きたら翌日の午後10時頃だった日もあった。

 4週間ほど、まったく部屋から出られなかったこともある。

 1人暮らしだった越智さんは、夜、目覚めると、誰にも会わないようにコンビニに行く。ラムネやグミなどの駄菓子を大量に買ってきて、口から放り込むと、また眠るだけの繰り返し。

 1週間で、12時間くらいしか起きていなかったような感じだった。

 起きている間は、「Hulu」(フールー)という映画見放題サービスをずっと見続けた。

 急に、断食しようと思い立ち、5日間ほど、スポーツドリンクしか飲まなかった。気づくと、体がガリガリにやせ細っていた。

「ああ、まだ生きられるんだ」

 そんな感覚しかなかった。