「うちの会社が極秘で進めているヨーロッパの会社とのM&Aの案件のことは知ってるか?」

「ハイ、知ってます」

「高橋君が知ってるんなら、極秘とはいえないかな」

「そうですね」

 また、2人は顔を見合わせて笑った。

「あのM&Aの交渉に設計部長として参加して、欧米の経営層と日本の経営層のレベルの違いをつくづく感じたよ。
 日本人は大卒一律採用でヨーイドンでスタートし、部長クラスまでは売上と利益しか見てない人が少なくない。しかし、欧米のビジネスエリートは入社のときから経営者予備軍として採用される。彼らは若いうちから子会社の社長になり経営を任されて育っていく。つまり、売上と利益だけでなく、もっと広い事業全体のプロセスに責任を持ちながら育っていくんだ。
 その事業全体のプロセスが会計の数字で表されているんだから、彼らは会計に関する知識も豊富だ。高橋君も是非若いうちから会計を勉強して、広い視野と高い視点を持ってもらいたいと思うんだ」

「ありがとうございます」

「硬い話はこれくらいにしておこう。また、近いうちに会計の勉強の仕方について教えよう。高橋君は会計の本を読んでみて、会計は難しい分野だと思ったかもしれないが、会計の仕組みは基本的にシンプルだ。設計の仕事と営業の仕事の基本が同じように、世の中のことはどれも基本はシンプルなんだ」

「設計と営業を経験してみて、石田さんが言われることはなんとなくわかるような気がします。楽しみにしてます」

(毎週水曜日更新。第2回は9月17日公開予定です)


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【主な目次】
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PART4 会計を現場で使うための基本的な考え方を学ぼう

本体1300円+税、本文2色刷、168ページ、
ISBN978-4-478-02829-2

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