住民税納税者の
一部は負担増加へ

 一方、住民税納税者の一部は負担増となる。基準所得が190万円以上だと1.5倍のほかに1.7倍を設け、190万円未満なら1.25倍のほかに1.5倍を導入した。

 こうした新しい基準を作った結果、基準額に対する倍率は0.3から1.7まで9段階になる。世帯全員が非課税だと0.5と0.7。本人が非課税なら0.9と1.0。本人課税では1.2,1.3,1.5、1.7ということだ。

 ただ、今でも自治体によっては6段階を細分化しており、今後も自治体の裁量に委ねられる。例えば、東京都板橋区では12段階に区分けしている。年間で最低2万6700円から、前年所得が1000万円以上の最高の第12段階では13万3500円と相当に開きがある。

 千葉県松戸市では15段階に分けており、15段階目の保険料は基準額の2.4倍の1万1180円。やはり合計所得額が1000万円以上の高齢者だ。

 第2号保険料については、制度変更はない。会社が設けた健康保険組合など医療保険ごとに給料から天引きされており、医療保険の加入者数に応じた「人数割り」で保険料が決められる。

負担の人数割りから報酬比例に
反対する経団連の「ごり押し」

 人数割りでなく、その被保険者の所得に合わせた「総報酬割り」に変えていく議論が社会保障審議会介護保険部会や国会で議論されたが、事業主負担を抱える経済団体が強く反対し、実現していない。経済力に応じた応能負担の導入が進むなか、負担増を嫌う団体の「ごり押し」が罷り通っていると見ていいだろう。
         
 これから先も介護サービス費は確実に増えていく。低所得者へのなお一層の軽減措置が必要になるだろう。その一方で、余裕のある人への負担増も欠かせない。厚生年金と企業年金を得る大企業退職者にとっては、毎月の保険料が3万円を超えても大きな負担とは言えないだろう。もし、保険制度がなかったら、巨額の負担を強いられることを考慮すれば、納得がいくのではないだろうか。

 所得の再分配が中産階層の広がりをもたらし、社会の安定につながる。その観点からも、保険料の総報酬割りは極めて合理的な手法であろう。負担が増すことで、経団連がいつまでも反対を唱えていては、企業の社会的責任を問われかねない。社会保障への負担比率が欧州諸国に比べて低い日本企業。負担を避けていては、社会全体で支援する「介護の社会化」を目指す介護保険の理念にも反することになる。