調査は「人事制度調査」「社員への調査」
「経営者へのインタビュー」の3段階で実施される

――具体的には、どういう調査を行いますか?

楠見 この調査は、単なる社員アンケートとは違います。企業の組織整合性を把握することを最重視して設計されています。まず、その企業の人事諸制度の調査からはじめ、社員への職場環境や人事制度についてのオンライン調査、そして経営者へのインタビューの3つの段階の調査を行います。それらの情報を取りまとめ、分析した結果を、第三者による審査委員会にかけて最終的なスコアを決定します。

――調査結果はどのように開示されるのですか?

楠見 調査対象企業には詳細な調査レポートを提出し、その内容についての報告会を実施します。また、国別のすべての調査結果から、一定以上のスコアの企業群を「ベスト・エンプロイヤー企業」と認定し、発表しています。さらに国によっては、「ベスト・オブ・ベスト」の1社を選定します。日本は今回が初めての調査ですので、ベスト・オブ・ベストの選定はありません。

――企業にとって、調査結果を見て他社との比較などで人事制度の弱点を補うヒントになりますか。

楠見 はい。すべての企業で「人は財産です」とはいうものの、結局のところ自社の人事制度が正しく機能しているのか、どこに問題点があるのかがわからないわけです。まず、そこに気がつかないといけません。

 また人材と言っても、一塊ではありません。機能によって細かい区分けがなされている組織の中で、どういうことでやる気が出てくるのかは違います。

 調べていると、実は、企業の人事担当者や現場のマネージャーの方々は、概ね人事制度についての理解をされているのですが、あと一歩の踏み込みができていないと思います。社員からどう思われているのかと、違う状況が往々にして存在します。そうしたギャップを、この調査では明らかにできます。さらにその結果をもとに、私どもがコンサルタントとして一緒に入っていって課題を解決していくことができます。

 2001年から調査をしていますので、日本の企業に対してその経験値をもとにした改善のアドバイスが可能なのと、各調査項目についてグローバルの基準との比較が可能です。

グローバル企業の人事の課題も明らかに

――海外の経験値が、そのまま日本の人事に生かせるとは思えないのですが。

楠見 確かに、一概に何かを言うことは難しいと思います。ただ海外と何が違うのかを見ることによって、気づきがあるかもしれません。また日本企業が海外に進出する際に、たとえば買収した海外企業の社員の働き方について、どうコミュニケーションをとったらいいのかを知る手掛かりになると思います。

 また、徐々に増えていると思いますが、海外にいる社員を、人事異動で来日させるケースでは、その方々に対して、やりがいのある就労環境を作っていくかを考えなければいけません。そのときに、海外と日本との調査結果の違いを参考にできると思います。

 外資系企業の場合でも、海外本社と日本法人の間での人事異動が活発になっています。従来は上位のマネジメント層の移動が多かったのですが、最近は現場に近いスタッフが異動するケースも増えてきており、人事制度の一貫性や働きやすさの基準作りは大きな課題になっています。