車両はインターネットに常時接続されているため、電気系統の故障は通信によって確認することができるし、オンラインでソフトの更新をすることで不具合を修正することができる。スマートフォンのソフトウエアが常に最新版にアップデートされるのと同じ仕組みだ。このあたりが、従来の自動車産業の常識にとらわれない“シリコンバレー流のビジネスモデル”と称されるゆえんである。

特許を他社に全公開

 さらにこの6月には、同社が保有する500以上の特許技術を他社が自由に利用できるよう公開し、業界の度肝を抜いた。03年の創業からわずか10年でかくも高性能のEVを造り上げたテスラ自身の成果を業界全体で共有することで、EV事業への参入と普及を加速させることが目的だという。

 テスラの創業者であるイーロン・マスクCEOに「本当の意味で“チェンジ・ザ・ワールド”を実行しようとしている数少ない経営者」とほれ込み、アップルジャパンからテスラモーターズジャパン社長に転じた樺山資正氏は、「一刻も早くEVを普及させるというミッションのために、投資は惜しまない」と意気込みを語る。

 自動車の大衆化のきっかけとなったT型フォードの誕生から100年以上がたつ。それ以来続くエンジンとトランスミッション(変速機)による自動車の時代を、一気に終わらせようというのがテスラの狙い。自動車メーカーがひしめく、ここ日本市場でも成功するか。目の離せない挑戦が始まった。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 深澤 献)