「EV実需」を精査すれば当然、「グーグルカー」のカタチへ
EVはやっぱり「超小型モビリティ」型が自然体

グーグルのセルフドライビングカープログラムのプロトタイプ。まるで日本の超小型モビリティのような格好だ。100台製造され、カリフォルニアで実証試験を行う Photo:Google Official Blog

 グーグル自社製のクルマ第一弾、それは自動運転EVだった。

 2014年5月27日(米西海岸時間)、同社が公開した「セルフドライビングカー・プロジェクト」のプロトタイプは、横2人乗りの小型EV(電気自動車)だ。本稿前編でも指摘した通り、同車はまるで「超小型モビリティ」のようだ。

 国土交通省/自動車交通局が「平成22年度・自動車交通局関係・予算概算要求概要」として導入を提案し、平成27年度まで普及促進に向けて全国で実証試験を続けている「超小型モビリティ」。本連載では様々な角度から、その「実需」について検証してきた。

 そうした取材のなかで、自動車メーカー各社の開発担当者は「EVはやっぱり、このくらいのサイズのクルマに、ちょうど良い」と指摘する。

 この“ちょうど良い”とは、EVが持つ「三重苦」に対する反語である。

「EV三重苦」とは、①航続距離が短い、②(リチウムイオン)二次電池の価格が高い、③充電インフラの整備にコストがかかる、を指す。

 1900年初頭の自動車産業創世記の第一次EVブームでも、1970年頃の世界的な反公害運動のなかで注目された第二次EVブームでも、1990年の米ZEV法(ゼロエミッションヴィークル規制法)施行による第三次EVブームでも、2010年前後の「i-MiEV」登場及び日産が「リーフ」を筆頭に巨額EV関連投資を行なった第四次EVブームでも、そして2014年6月現在でも、「EV三重苦」は解消していない。これは筆者の個人的な意見ではなく、筆者が常日頃、自動車メーカー各社のEV開発現場で聞く「本音」である。

 この「EV三重苦」を一気に解消する方法がある。

 それが、都市内を短距離移動する「シティコミューター」としてのEVだ。「超小型モビリティ」の存在意義のひとつである。

 この手法をグーグルは素直に採用した。しかもそこに、自動運転を連動させた。