特別な才能、資格、実績があったわけでもない

 私は十数年にわたって、転職を検討する方々のキャリア設計を支援してきました。マッキンゼーやボストン・コンサルティング・グループをはじめとするコンサルティングファームや、投資ファンド、外資系企業のエグゼクティブへのキャリアチェンジを支援した方の人数は1000人以上にものぼります。

 このようにお話しすると、私が特別に優秀な人たちばかりを支援しているのではないかと思われる方もいるでしょう。ですが、決してそうではありません。戦略コンサルや外資エグゼクティブといった素晴らしいキャリアに就いた方々も、転身前は一般的な企業に勤めるごく普通のサラリーマンでした。

 彼らも普通の家庭に生まれ、まじめに勉強して大学に入り、新卒時には一般的な日系企業に就職した人たちです。特別な資格を持っているわけでも、業界を驚かせるような高い実績を挙げていたわけでもありません。

人生を飛躍させた鍵は「キャリア戦略」にあった

 私が10年前に転職を支援した30代の起業家の方は、先日食事をしたときにこのように話してくれました。

「思いきって、渡辺さんに相談したことで人生が変わりました。営業経験しかなかった自分でも、キャリア戦略をうまく組めば、こうやって夢を実現できるんですね」。

 この方は、いま、起業家としてメディアや投資ファンドからも注目されている存在です。しかし、この方も、もともとは一般的な企業に勤めるごく普通のサラリーマンでした。ご自身の夢を実現するため、起業家として必要な経験やスキルを積めるように上手にキャリアを設計することで、無理なく現在のポジションを築いてこられたのです。

 いま、社会で大活躍している彼らが、人生を飛躍させた鍵――それは、“キャリア戦略”にありました。この連載で私がお伝えする手法は、まさに、多くの戦略コンサルタント、外資エグゼクティブ、起業家などビジネスエリートたちが実践してきたキャリア設計法です。