「キャリアの階段」をつくる
彼女のキャリア設計で重要なポイントは、最初から経営企画やマーケティングのポジションを目指さなかったということにあります。日系企業の若手営業というステージから、いきなり大手企業の経営企画部門に入るというのは、少々無理があるでしょう。
しかし、一足飛びにゴールに向かうのが難しい場合には、中間地点となる「キャリアの階段」をつくって着実にゴールを目指すことで、その実現可能性は飛躍的に高まります。
コンサルティング業界であれば、若い方を対象に、未経験者でも採用している会社がたくさんあります。そこで、まずはコンサルティングファームに行って、戦略立案やマーケティングに関する業務経験を積んでおくという選択肢が見えてきます。
一旦、このような業務経験を積めば、事業会社の経営企画やマーケティング部門で“即戦力の経験者人材”として扱われ、入社できるチャンスが一気に高まります。一見すると寄り道のように見えますが、コンサルティングファームに行くことは、彼女にとっては事業会社の経営幹部に至る最短ルートとなったのです。
自分の未来を自分でデザインする
転職活動の際、一般的には、自分が就きたい仕事や入りたい会社へ応募することを考えます。しかし、現在の経歴やスキルでは、志望の仕事に就けないということも珍しくありません。そうなると、「自分は目指す仕事には就くことができないんだ」とあきらめてしまう方が大半ではないでしょうか。
ところが、そのような場合でも、「キャリアの階段」をうまく挟むことで、ご自身の目指す仕事に就ける可能性は十分にあります。目先の転職活動のことだけを考えるのではなく、自身のゴールへ至るためのルート全体をデザインすることが大切なのです。
「夢をあきらめたくないが、家族をはじめとする周囲の人たちのことを考えると、無謀なチャレンジはできない」というジレンマを抱えている方もいるでしょう。もちろん、いきなりやりたい仕事をはじめようとすれば、収入は激減して、失敗も多く、苦労もするでしょう。しかし、「キャリアの階段」をつくることで、安全・着実にゴールに向かって歩むことが可能です。
ビジネスエリートの皆さんも、キャリア戦略を描いて実践したことによって、安全・着実にいまのポジションをつかみ取ってきました。そして、読者の皆さんも、工夫次第で、安全・着実に、「好きなことで、高い収入を得ながら、社会にインパクトをもたらす」という生き方をつかみ取ることができるのです。
キャリア戦略のつくり方には、さまざまなノウハウが存在します。次回以降、皆さんが気になる「年収をアップさせる方法」や「人生を劇的に変えるキャリアチェンジ法」など、具体的なキャリア設計法を紹介していきます。
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