助役などの特別職の人事案件は、議会の議決が必要とされる。ところが、汚職に対して寛容な土地柄なのか、逮捕された人物は職員を辞職し、その後、復活を果たしていた。なんと町の助役に就任したのである。そして、持ち前の剛腕を発揮し、実質的に町政を取り仕切る実力者にのし上がっていった。

 その辣腕助役は1994年の千代田町長選に出馬し、大激戦の末に対立候補を70票差で退けてトップに登り詰めた。職員や議員に睨みを利かすワンマン町長となったのは言うまでもない。職員採用をめぐる口利きなど、地域内に黒い噂が広がるようになっていった。

「やっぱり何かおかしい……」
前代未聞の不祥事に住民は仰天

 この千代田町のワンマン町長が実質的に霞ヶ浦町との合併を主導し、新設されたかすみがうら市の初代市長に就任した。ところが、船出して間もないかすみがうら市を大スキャンダルが襲った。

 公共工事の受注をめぐる暗闘が勃発し、業者の賄賂メモが外部に流出したのである。捜査のメスが入る事態に発展し、あれよあれよと言う間に初代市長の逮捕・辞職につながっていったのである。

 かすみがうら市は誕生からわずか1年半足らずで、2代目の市長を選出しなければならなくなった。もちろん、そんなことになるとは誰も予想していなかった。水面下での一本化工作が地元政界の有力者の間で進められ、地元選出の県議(旧千代田町出身)が急遽、後継候補に担ぎ出されることになった。

 告示2週間前の出馬表明となり、他に立候補者が現れなかったことから、2006年7月に無投票でそのまま市長となった。坪井透氏である。

 初代市長が汚職で逮捕されるという前代未聞の不祥事に、かすみがうら住民の多くが仰天した。そして、行政や議会への不信感を募らせるようになった。もともと合併協議が自分たちの預かり知らぬ間に進められていったという不満が、住民の間にくすぶり続けていた。市政に対し「何かおかしい」と感じていたのである。そうした思いは、新しい市長になっても変わらなかった。

 それどころか、住民の不信・不満の炎に油を注ぐような出来事が起きた。市議会が「他の市議並みに議員報酬をアップさせる」とし、自分たちの報酬を約4割も増額させたのである。合併前に議員報酬アップの密約が結ばれていたとの説も流れ、住民の怒りはさらにヒートアップした。