一方、スコットランド行政府のアレックス・サモンド首相は「投票の結果を受け入れる。この段階ではスコットランドは独立を選ばなかった。英国政府が権限移譲の約束を守ることを望む」と話した。

 英国は「連合王国」という国家形態を維持することができた。独立による経済状況の悪化、ポンドの不安定化、英国の国際的な影響力低下という事態は、ひとまず回避することができた。

 当初、独立反対派の圧勝と見られた住民投票は、選挙終盤に独立派が予想外の追い上げを見せて、選挙直前の世論調査で独立賛成の支持がほぼ50%に達する大接戦となった。これは一言でいえば、独立反対派の「油断」であったと思う。

 キャメロン首相など英国主要政党の首脳らは、当初スコットランドに入って、住民に直接英国への残留を訴えるつもりはなかった。直接訴えることは、かえって独立派を刺激して逆効果と思われたし、それ以前にスコットランド独立に「リアリティ」がなかった。

 反対派のキャンペーン「ベター・トゥギャザー」の賛同者には英国の大企業や著名人が並んでいた。英最大金融機関HSBC、豪英資源会社BHPビリトン、世界的に人気の高い「ザ・マッカラン」など地元のウイスキーメーカーなど、英国を代表する130を超す企業が、独立反対を表明していたのだ。

 経営者らは、独立すれば英政府が認めないとする通貨ポンドの扱いやEU加盟、税制などを問題点に挙げ、「英国に残ることが繁栄につながる」と主張した。また、スコットランドに拠点を置き、スコットランド・ポンド紙幣を発行している英銀行大手ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は、独立が決まった場合、持ち株会社と中核事業会社をイングランドに移すことを検討していると発表していた。

 一方、スコットランド行政府のサモンド首相は、住民投票で独立が決まれば、ポンドを通貨として継続使用し、EUへの加盟にも自信を見せ、北海油田の権益も継承できて北欧型の福祉国家を建設できるとしていた。だが、具体論は曖昧だった。英国主要政党党首や財界では、独立は「あり得ない話」であり、独立運動が盛り上がることはないとの楽観論が支配的だったのだ。