【その2】
真のマネジャーなら意識すべき
上司へのリーダーシップ

 もう一つ、上意下達が基本のピラミッド型組織が不得手なものがある。それが、上方向へのリーダーシップの発揮だ。

 私が代表理事をしている社会人材学舎の知命塾という塾では、さまざまなケーススタディも行っている。たとえば、こんなトレーニングケースだ。

「ある中堅のアルミニウム会社の社長が、チタン事業に進出したくて仕方がない。そうは明言しないのだが、社員は皆そのことを知っている。

 あなたは、そんな状況の会社に大企業から転職してきた企画部長だとしよう。

 ほどなく、社長から『わが社はチタン事業に出るべきかどうかを検討せよ」という具体的な指示が出た。それを受けて自分の部下がいろいろと調べて、報告書を上げてくる。あなたは、その報告書に目を通して、どうするのか。

 その報告書は、簡単に言えば『チタン事業は有望であり、わが社はチタン事業に参入すべきだ』という内容になっていた。社長が喜ぶ内容だ。

さて、あなたはどのような行動を起こすのか」

 その内容を鵜呑みにして、何も考えずに社長に持っていくとしたら、マネジャーとして失格だ。

 実は、その問題には1つ、トラップが仕掛けられていた。チタン市場におけるシェア分布だ。チタン市場は現在、5社が分け合っている。そのうちの2社が10%以上のシェアを持っていると記載がある。

 よく考えないと、大きなシェアを持つ会社はないと読み取れてしまうかもしれない。しかし、よくよく考えてみるとそれは違うということがわかる。

 残り3社は10%未満のシェアなのであるから、多くて9.9%ということになる。つまり、3社を合わせても、そのシェアは29.7%ということになる。つまり、残りの2社は10%以上と言うが、合せて70%以上を占めている。そうした寡占市場なのだ。

 そうした市場に、新規企業の参入余地はほとんどない。普通であれば、参入は見送るところだ。