華人財閥と中国共産党は、歴史的に深い関係を構築してきた。まず、現在中国を支配する習近平中国国家主席と華人財閥の関係である。習主席は若い頃、福建省福州市書記を務めた。その時、インドネシアの華人財閥・サリムグループの協力によって「福州貧困脱出計画」と名付けたプロジェクトを開始した。大規模な外資導入に成功した結果、福州市は全国トップの経済成長を達成した。その実績によって習主席の行政手腕は高く評価されることになり、習主席は出世の階段を上り始めたのだという。

 また、現在でも習主席の経済改革には華人が密接に関係しているという。習主席とリー・クワン・ユー元シンガポール首相との緊密な関係は有名である。リー元首相は、習主席の経済運営に、アドバイスを送り続けているという。そして、習主席とシンガポール華人財閥との協力関係の構築に尽力しているという。このように、華人財閥に対して、習主席は決して忘れることができない「恩義」があり、華人財閥は現在の政権運営でも必要不可欠な存在となっているといえる。

(1)華人財閥と中国共産党:
中国共産党と華人財閥の歴史的関係

 また、習主席の登場以前にも、中国共産党と華人財閥は歴史的に深い協力関係を構築してきた。例えば、毛沢東は福建出身の、シンガポールのゴム王、タン・カーキーとの親交が知られている。1949年の中華人民共和国成立後、タン・カーキーは中国に帰国し、アジアの華僑社会を取りまとめて毛政権の経済運営をサポートしたという。

 そして、「改革開放政策」を打ち出し、中国を高度経済成長に導いた鄧小平(トウの字は登におおざと)は、タイのCP財閥のタニン・チャラワノンと協力関係を築いた。また、台湾の王永慶や香港の李嘉誠らの財閥が、広東省に積極的な大規模投資を行い、中国の経済成長の実現に貢献した。合成樹脂、繊維、石油化学、電子部品などの工場が次々と広東省に移転されたことで、中国は「世界の工場」としての地位を確立することができたのだ。

(2)華人と「太子党」の
コスモポリタン的思考方法

 華人社会は、欧米の植民地支配の時代からビジネス活動をしてきた歴史的経緯から、市場経済、自由民主主義に基づく経済システムになじみがある。その上、若い世代の華人ビジネスマンは、米国、英国、カナダなど欧米の大学で学んだ経験をもつ者が多い。彼らはMBAを取得している者が多く、コスモポリタン的な思考方法を身に着けている。ビジネスのスタイルもより欧米的であり、中国当局は彼らの行動を規制するのが困難になっている。