飛び込み営業、提案力、褒める文化
顧客の社名さえ変える「圧倒的な営業力」

※EBITDA:「営業利益+減価償却費+のれん償却額」にて算出
※期中平均為替レート実績:1ドル(米)=97.7円
※リクルートホールディングス決算説明資料より
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 そして、この企業課金型ビジネスモデルを支えるストロングポイントが、「顧客接点力の高い営業組織」と言っていいだろう。クライアントの課題を見出して提案するだけの能力を備えた営業。ときには、経営陣に対して大胆な切り込み方ができる営業。それゆえ信頼を得ることができたのであろう。当方が在籍した当時、入社間もない営業が、

「社長、この社名では事業の魅力が伝わりません。別の社名に変えましょう」

 などとクライアント先で言い放つこともあった。参考までにお伝えするが、子ども服ブランドとして知られる「ミキハウス」が現在の社名に変更するのを促し、学生人気企業へと変貌させたうちの1人が、リクルートの若手営業だったという。そんな、提案力のある営業が営業部には必ず数名は存在していたのだ。

 実はリクルート社内でも、モノを売るだけでなく、提案力のある営業こそロールモデル(なりたい姿)としてプロモーションがなされていた。それまでは物売り的な営業しかいない企業が大半であり、彼らが現場力で競合他社と闘ってきたのは間違いない。それに対してリクルートも、同様に収益を稼ぐ基盤となる法人営業部隊に対して投資をしてきた。一流大学を卒業した学生たちが入社すると、

「担当するエリアで1日100社以上は飛び込み営業をすること」

 と厳しい洗礼を受けるのは当たり前。飛び込み営業とはアポイントなしで企業に訪問する営業スタイルであるため、当然ながら「帰れ」とキツイ仕打ちを受け続けたものだった。そんな若手営業が提案型営業に成長できるのはなぜか?それは上司による事細かな指導が繰り返されるからだろう。ただし、指示をするわけではない。

「お客様は何を求めているのだろうか?」

 と、“考えさせる”機会を通じて、物売りの発想に陥らないように指導を繰り返す。この育成法が現場には浸透している。ある意味、トヨタ自動車のカイゼン活動に似て、地味ながら重要な競合他社を圧倒するためのポイントであった(リクルートの営業力に疑問を指摘する人は増えているようだが)。

 さらに、キツイ仕事で大きな成果を出せば「讃える風土」が醸成されていることもリクルートを形づくる重要な要素だろう。

「○○さんが半期の最優秀営業に選ばれました」

 というように、高い業績をあげた営業が表彰される機会が巧みに準備されている。こうして競争と多彩な育成によって鍛えられた営業組織力を基盤に、リクルートは競合他社と比較しても圧倒的なクライアントとの関係性を築き、差別化を図ってきた。