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「事業においては、リスクを最小にすべく努めなければならない。だがリスクを避けることにとらわれるならば、結局は、最大にしてかつ最も不合理なリスク、すなわち無為のリスクを負うことになる」(『創造する経営者』)
リスクには4つの種類がある。負うべきリスク、すなわち事業の本質に付随するリスク、負えるリスク、負えないリスク、負わないことによるリスクである。
ほとんどあらゆる産業に負うべきリスクがある。新薬には人体を傷つけるリスクがある。しかし、なおかつ製薬に携わるには負うべきリスクである。
多少の資金と労力を失うリスクは、負えるリスクである。失ったならば存続できないほどの資金がかかるのであれば、それは負えないリスクである。
事業に着手するに当たっては、成功を利用できるか、もたらされる機会を実現できるか、それとも誰かのために機会をつくるだけかを問わなければならない。
負わないことによるリスクの典型は、革新的な機会に伴うものである。その古典的な例が、第二次大戦直後のGEの原子力発電への進出である。専門家は原子力を経済的な電力源にできる可能性は低いと見ていた。しかしGEは発電機メーカーとして、万が一にも取り残されるというリスクを負うわけにはいかなかった。
「リスクの有無を行動の基盤としてはならない。リスクは行動に対する制約にすぎない」(『創造する経営者』)