今、日本企業にとって本当に必要な「戦略」とは何か? 古い考え方に固執することをやめ、新しい考え方に切り替えろとはよく言われるが、わかっていても賞味期限切れの考えにしがみついている企業は多い。なぜパラダイムを変えられないのか? 効果的にパラダイム変え「永続する企業」になるにはどうすればいいのか?
戦略とは、現在取り組んでいることの成果を
最大化するだけではない
一般的なイメージでは、戦略というものの効果は「今、取り組んでいること」の成果を最大化するものと思われています。しかし、実際に様々な戦略を見渡すと、戦略の目指すものとして「現在取り組んでいることから上手く離れる」ケースが少なくありません。
これは私たちが、今やっていることに固執してしまい、その目標や手法、古い考え方に縛られて失敗をしていることが多いからです。
過去何度も上手くいっていることに、私たちは知らずに固執しています。その状態を放置していると、離れることを考えなくなってしまうのです。結果として、すでに消費者のニーズから外れた商品を延々と作り続けてしまう、見通しの暗いビジネスを諦めず、昨日と同じ今日を過ごすこと自体が、なぜか目標になってしまうことになります。
このような危険な惰性は、個人だけではなく組織にも存在しています。一世を風靡したベンチャー企業や歴史ある名門企業でさえ、時に惰性から抜け出せず、足をすくわれてしまった姿は、私たちが日々ニュースとして目にしているところです。過去への固執と惰性は、優れた組織にさえ気づかずに忍び寄る、恐ろしい病のような存在なのです。