有権者からしてみれば「年に一度の陳情」や「たまには一言、言ってやろう!」でも、政治家事務所からしてみれば、毎日のように電話が鳴り、激励やお叱りの言葉も含めて有権者の方々との対話に時間を使わねばならない。

 国会事務所であれば、国会開会時には、当然議論の内容は常にウォッチしていなければならないし、事務所には訪問者も多い。官僚からのレクチャーや政策についての勉強会などへの参加を1人でこなそうとすると、事務所が留守になってしまう。

 朝は8時前には出勤して会議に出席し、議員の代理で講演を任されることもあり、夜はパーティや会合に参加することも多い。何より、政策担当秘書の仕事は「考える」ことでもあるので、1人で考えを巡らせる時間も欲しい。そうなると、どうしてもアシスタントが必要になってしまうのである。

 もちろん、私設秘書を雇うかどうかは議員本人の判断なので、選挙区が東京に近い議員は政策秘書にも地元まわりを兼務させたり、事務所を一本化してアシスタントを集約したりすることで人件費を抑制している例もある。

支援者に「割り勘で」と言えるか
議員の職業病と“哀しき性”

 次にお金がかかる費目は、会合参加費・飲食費だろう。

 国会議員の重要な仕事の一つに「国民の声を拾う」ことが挙げられる。しかし、駅前で演説していても国民の声など拾えるわけがない。さまざまな会合や勉強会などに参加したり、直接会って話をすることで、「今の有権者はこういう風に考えているんだ」と肌で知ることは極めて重要なことだ。

 しかし、それにはどうしてもお金がかかってしまうのも現実なのだ。人と会って話をするのに、食事もお茶も無く向かい合って話をするということは、考えにくい。また、選挙で自分を支援し、国政に送り出してくれた有権者と話をしながら食事をした場合、「では、割り勘でお願いします」とはなかなか言えるものではない。これはビジネス界で活躍している方であれば、想像できるのではないだろうか。

 また、冠婚葬祭への参加も多い。議員に対してよくある批判に「国会議員は呼ばれてもいない結婚式に参加して票を稼いでいる!」というものがある。

 しかし、よく考えてみてほしい。呼ばれてもいないのに結婚式や葬式に参列することなどできるはずがない。国会議員は職業柄どうしても顔が広くなってしまう職業なので、応援してくれた人が結婚した、関係者が亡くなったとなると、必然的に電報を送ったり参加することになる。

 結婚披露宴のご祝儀の相場は3万円と言われているが、「国会議員だし、3万円とはいかない」という心理が働くのも事実で、5万円、場合によっては10万円は包まざるを得なくなる。

 これは人によって異なると思うが、真面目に活動すればするほど、毎日誰かと食事を共にしたり、会合に参加したりすることになるので、おそらく年間300~500万円程度は必要になってしまうのではなかろうか。

 会合に出ること、有権者とのコミュニケーションは議員としての大事な仕事であり、それによって人脈が広がるのは“職業病”と表現できるだろう。そして、有権者との食事を含む会合などで「相手に払わせられない」という心理が働くことは、議員の“哀しい性”でもある。

 ちなみに、筆者は政治家ではなく、単なる秘書であるが、すでに結婚式には100回以上出席し、300万円以上のお金を自腹で支払っている。これもまた議員同様、人脈が広くなってしまうことに起因する“職業病”なのである。