それどころか、多くの法人は理事長の専横が目立ち、親族が理事に名を連ねる同族運営が罷り通っている。「とうちゃんが理事長。かあちゃんが施設長、息子が相談員」と揶揄されるところも少なくない。零細農家並みの私物化体質だ。成功した企業家が、土地を代々まで残しておくために、寄付をして社福を設立し、その理事長に居座るケースも多い。

 篤志家が社福の創生期に多かったが、2代目、3代目となると初心を忘れてしまいがちになる。

 企業のような株主が不在なため、寄付者が絶大の権限を持つ。理事会を身内で固めれば大口寄付者の理事長に異論を唱える幹部はいない。そのため、理事長の腹一つで事実上の法人の売買が平然と行われる。

 東京都内の企業が特養を手掛けようと社福法人の設立を検討していたところ、取引先銀行が「わざわざ新設しなくても、売りに出ている法人があるから買われては」と誘われたという。公益法人の売買はあり得ないが、一見、理事長が入れ替わるだけなので売買は分かり難い。

 公益法人なのに、実態は会社経営と同じような感覚で経営されている。親族が運営する給食や事務機会社と癒着したり、建設工事を発注しても一般企業であれば、さして問題にならない。トップ経営者の交代もよくあることだ。

 現場の福祉やケアへの特別の思い入れがない経営陣が、需要の拡大とともに市場原理に飲み込まれつつある。それなのに、外見は公益性を謳い、他の公益法人にない非課税の恩典も得ている。内実と外見のズレを巧みに使い分け、多大の収益を確保しているのが実態だ。

国も動き始めた社福の改革
安倍政権も注目する「社福への課税」

 国の審議会からも社福法人の改革議論が噴出している。

 まず、社会保障改革推進国民会議が昨年8月の報告書で「(社福には)非課税扱いに相応しい国家や地域への貢献が求められており、低所得者の住まいや生活支援などに積極的に取り組んでいくことが求められる」と指摘した。生活保護受給者の生活支援を手掛けるのは当然の責務だが、その意欲もあまり聞かれない。

 規制改革会議からは「介護・保育事業における経営主体の間のイコールフッティングの確立」を求められた。管轄する厚労省では「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」(座長.田中滋慶応大名誉教授) を設置し、昨年7月に報告書をまとめた。その結論として、

「『地域における公益的な活動の推進』と『法人組織の体制強化』、『法人運営の透明性の確保』は、歴史的にこの国の地域福祉の向上を支えてきた社会福祉法人が、時代の変化を踏まえ、今後も福祉の主な担い手として地域住民等から信任を得続けるために必須の事項であり、必ず実施していく必要がある」

 と指摘した。