また、ジャパニーズオークと呼ばれるミズナラの木をつかった樽も日本特有のもの。ミズナラ樽の名前は宣伝上手なサントリーが広めましたが、もちろんニッカも昔からミズナラ樽でウイスキーを仕込んでいます。

 そもそも竹鶴が最初に醸造所を構えた北海道は良質なミズナラの産地。水と森が近くにあることも竹鶴が北海道を選んだ理由のひとつなのかもしれません。ちなみに余市醸造所は世界で唯一、石炭火力で蒸留している前近代的な昔ながらの方式をとっていることでも有名です。

 では、なぜ、五大生産地のなかで最も後発の日本が今ほど高品質なウイスキーを作るにいたったのでしょうか。

 昔から日本人は外来の技術を模倣し、やがて自家薬籠中の物にして、独自の文化にしていくことを得意としてきました。また、昔ながらの職人仕事をリスペクトする文化もあります。竹鶴をはじめとした日本人の本物へのこだわりと日本の風土が、スコッチとはまた違う高品質のウイスキーを生んだと言えるでしょう。

 僕らは他の国の文化を料理や音楽などによって知ります。なかでもお酒はその国の文化をもっとも端的に表すもの。日本でも宗教や国籍も異なる異文化の方と、より多くのコミュニケーションをとる必要性が増してきています。(イスラム圏の人はともかく)酒を酌み交わすのはお互いの文化の理解を深める簡単な方法です。さて、一杯のウイスキーのなかに、日本の森と水が凝縮されていると思うと、いつもとは味がちょっと違って感じませんか?

※編集部から訂正のお知らせ※
2ページ目の後半にて
「流通している割合としてはブレンデッドが9割、シングルモルトが1割ほどです。どちらにせよウイスキーはすべて原酒をブレンドしてつくります。ブレンドの配合はウイスキーのパーソナリティを決める大きな要素です。」
と記載しておりましたが、文中の「すべて」という文言を「基本的に」に修正いたしました。