1995年以降、日本のメディアでは、さまざまな中国崩壊論が予測されており、中には何月何日崩壊するといったご託宣のようなものもあった。笑止千万と聞き流してきたが、当のメディアと一部のコメンテーターがますますその予測に本気になっていくのを見て、これではまるで日本の視聴者に睡眠薬を投与し続けているようなものだと思えてしまう。

もう一つの重要ニュースは無視

 今回の番組も、不動産取引は中国のGDPの2割弱を占めており、成長を続ける中国経済の象徴でもあった、と決めつけたうえ、その不動産価格の下落傾向が鮮明になってきたことに焦点を当てて、「全国の主な都市の70都市のうち、不動産価格が下落したのが68都市にも上った。……その不動産バブルの崩壊に伴って、待ち受けるのが『金融危機』。金融市場で大きなシェアを占める『信託商品』が、今年から来年にかけて返済期のピークに達し、約5兆元(約82兆円)程度の貸し出しが返済期限を迎えることになるという。この信託商品は高い利回りと引き換えに、元金の保証は全くないリスクの高い金融商品であり、中国経済に大きな影響を与えるという『シャドーバンキング』の核となる存在。リーマンショックを引き起こしたサブプライムローンの中国版と言われるシャドーバンキングだけに、5兆元規模の信託投資が返ってくるのか、その結果次第では、中国経済は破たんという名の地獄へ落ちていくことに……」といった内容を報じた。

 論点の飛躍と根拠の無理さを指摘すれば、きりがない。ここでも目をつぶる。問題はその番組を収録する当日、北京では、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立をめぐって、中国と東南アジアの国々、それにインドなど設立を支持する21ヵ国の代表が集まり、覚書を取り交わした。法定資本金は1000億ドル(約10兆8000億円)で、アジア開発銀行(ADB)の約6割に相当する規模となるが、このアジアインフラ投資銀行を通して中国がアジアの経済的覇権を狙おうとしている、と日本やアメリカなど一部の国々が見ている。そのため、米国が自ら前面に出てきて、韓国やオーストラリアの加盟にブレーキをかけたりした。内容の重要さから見れば、明らかに当日に発生したこのニュースを番組に取り入れるべきだったが、都合よく無視された。