国内の公共インフラや大手金融機関などの巨大システムを構築してきたシステムインテグレーションの大手が、縮小する国内市場からの脱却に挑んでいる。その本気度やいかに。
「数年前ならNTTデータに声は掛からなかったと思う。それを獲得できた。これは記念すべきディールだ!」
9月17日、米国ダラス(テキサス州)のホテルで、NTTデータの海外事業を担っている経営幹部を集めた「グローバルカンファレンス2014」が開かれた。北米、欧州、アジアから集まった総勢約250人の前で、山田英司副社長が直近1年間における最大の成果を語る。その声はホールの外にも聞こえるほどだった。
そこで紹介されたのが、メルセデス・ベンツなど高級車を製造する独ダイムラーのITシステムの受注だ。クルマに必要な部品材料の仕入れから製造、組み立て、輸送まで、世界一貫のデリバリーシステムの新プロジェクトの一翼を、同社が担うことになる。
同案件の契約額は10億円前後とみられ、今後は三桁億円を超えると期待されるが、注目点は受注金額だけではない。同システムは、米IBMが独占的に手掛けてきたものだった。世界的なIT企業の“領地”を、海外でははるかに認知度の低い同社が、部分的にでもひっくり返した非常にエポックな出来事だったわけだ。
同社の2014年3月期の売上高は1兆3437億円で、そのうち、海外事業の売上高は2987億円で約22.2%を占めている。今期はさらに伸びて4060億円、約27.6%と全社の4分の1を超える水準になりそうだ。