12日にBSA(BUSINESS SOFTWARE ALLIANCE)が発表した、「2008年のPCソフトの違法コピー状況」によれば、中国の違法コピー・ソフト率は80%という数字だった。数年前の調査から毎年数ポイント改善されてはいるが、80%台をキープしたままの中国は、なおコピー天国と揶揄されても仕方ない状況にある。
カルフールで売られている海賊版 |
実際、中国人はWindowsやOffice、Photoshopなどの著名ソフトの海賊版を積極的にインストールしているが、しかしそれ以外の部分では、消費者の海賊版利用の問題は近年改善しつつある。
中国の一般的なPCユーザーが入れているソフトは、上記ソフトの他を挙げると、チャットソフトをはじめとした無料で利用できる正規版ソフトや、ウィルス対策のための正規版セキュリティソフト、ゲームが好きな若者ならば利用した分だけ支払って遊ぶオンラインゲームがインストールされている。マイクロソフトのソフトウェアばかりに目がいくと海賊版事情はまるで改善されていないように見えるが、主に中国国産のソフトを中心に、各人のPCの中には正規版ソフトがインストールされている。何でもかんでも海賊版ばかりを利用しているわけではない。
同一商品でも日本に比べ
正規版の価格が安い
PCソフトに金を落とす理由としては、セキュリティソフトの例が分かりやすい。コンピューターウィルスは毎日無数に誕生している。そのためには最新のウイルス情報に対応すべく、セキュリティソフトは常に最新の状態にアップデートする必要がある。海賊版であれば、最新版ソフトをうまく入手できても、海賊版がゆえに最新の状態に更新できないため使い物にならない。
また、正規版が他国よりも安いという事情もある。ソフトベンダー同士の競争の結果、中国では日本よりもずっと安く販売され、しかも銀行振込や携帯電話料金からのチャージなど、各社が様々な支払い方法に対応している。例えば世界各国で発売されているセキュリティソフト、Kaspersky Internet Securityは、日本では優待価格でも最安値で4680円(1年間)だが、中国では3年間で158元(約2300円)という価格で利用できる。
中国の正規版マイクロソフト製品 |
ソフトウェア商品は海外でもそのまま利用できるとして、以前は逆輸入を恐れ、全世界どの国でもほとんど変わらぬ価格で発売されていた。マイクロソフト製品もそうしていたが、今は違う。例えば通販サイト「amazon」でWindows XPを買おうとすると、日本では最も安いものでも1万1480円するが、中国では468元(約7000円)で購入できる。Office 2007はもっと価格差が大きく、日本でキャンペーン版14299円に対して、中国では199元(約3000円)で販売されている。もちろん海賊版ではなく正規版だ。
中国に限った話ではないが、もはや消費者向けのソフトウェアは、先進国を基準にした世界統一価格設定は過去の話であり、現地の物価を考慮した価格設定が現在のメインストリームとなっている。