安倍政権は、消極的に民主党時代に成立した消費税増税法を継承している。周知のとおり、消費税率を来年10月に8%から10%に引き上げるということは、法律上すでに決まっている。12年8月に民主、自民、公明の3党合意に基づいて成立した消費税増税法は、5%だった消費税率を今年4月に8%、来年10月には10%へ引き上げることを規定している。

 この法律の規定をひっくり返すには、新たな法律を制定するか、消費税増税法の改正法案を成立させる必要がある。これには政治の力業が必要だが、現職国会議員の大半はかつて同案に賛成しているため、彼らを翻意させるのは容易ではない。

「消費増税の信を問う」は
衆院解散の大義になる

 そこで、衆院解散で国民の信を問うというわけだ。増税に賛成の人にとっては、この解散は嫌でたまらないようだ。

 そのため、色々な言い方で解散を否定しようとする。1つの言い方は、解散に大義がないというものだ。増税派の野田毅・自民党税制調査会長は、「まともな考えでいけば、常識的に解散はない」と述べ、「大義名分のない選挙はよくない」と語ったと報道された。安倍首相が帰国後に解散を明言したら、野田氏はどう対応するのだろうか。筆者は、野田氏は「1年半の延長ならいい」とあっさりと言うような気もする。

 12日の朝日新聞社説「政治と増税 解散に大義はあるか」はかなりびっくりした。まず事実誤認がある。「3党合意を破棄する」と書かれているが、そうでないだろう。ただ単に、消費税増税法附則に基づく経済条項について、国民の声を聞くというだけだ。首相が、間接民主主義の国会議員と国民との差を感じたら、行使するのが解散権である。この意味で、大義名分はしっかりある。

 何より、国民の声を聞こうとすることを否定するマスコミって何だろうか。筆者はこの社説を見て、「自分たちの軽減税率を断固死守せよ。そのためには世論を無視せよ」と言っているように思えた。