今の若者だって夜通し
みんなで騒ぐのは大好き
政府による風俗営業法の改正案閣議決定によって、「クラブ」がようやく「朝まで踊ってよい場所」として営業が認められる見通しが立ちました(第66回参照)。この「クラブ解禁」は、日本経済にいったいどんな影響をもたらすでしょうか。
端的には、モノを買わない「嫌消費世代」とか、リアルなコミュニケーションが苦手な「ネット世代」などといわれる今の若者たちが、もっと夜遊びすることで、アミューズメントやエンターテインメント、飲食……といったマーケットが活性化されるのではという期待が持たれます。
しかし私は、今の若者をひとくくりに「嫌消費世代」「コミュニケーション下手」と決めつけることに抵抗があります。たまたま彼らが生まれた時代が、バブル崩壊後の不況であったり、ネットという新しいメディアが生まれたというだけであって、時代を問わず、若者なら誰しも、「理由はどうあれ、みんなで群れて騒ぐことは楽しい」という気持ちを持っているはずです。
その象徴的な光景を、私は目の当たりにしました。
10月31日の金曜日、私はこの日、マーケティング業界関係者が集まるハロウィンパーティーに出席すべく、20時頃、JR渋谷駅に降り立ちました。そこで遭遇したのが、テレビでもさかんに放映されていた、駅前の交差点やその近辺でのあの光景です。
漫画のキャラクターに扮したり、特殊メークをほどこした大勢の若者たちでごった返す夜の渋谷駅前は、警視庁の機動隊が出動するほどの人出で、私は交差点の真ん中で、全く身動きがとれなくなりました。もはや、ハロウィンがそもそも欧米の秋の収穫祭であったり、アメリカでは子どもが主役だという話は、ここでは通用しません。
パレードに参加したり、仮装パーティーに興じるのは20代と思しき若者たちが大半で、いつしか、「10月31日は、大人が仮装して酔っぱらうイベント」にすり替わった感すら覚えます。