旅館の“再生屋”として知られる星野リゾートが、不動産投資信託(REIT)市場へ参入することが週刊ダイヤモンド編集部の調べでわかった。早ければ6月末にも、保有・運営する宿泊施設を組み入れたREITを東京証券取引所に上場させる方針だ。

 まず、星野リゾートは、投資家から資金を集めて投資法人を設立し、この投資法人が星野リゾートから保有不動産を買い取る。

 REITに組み入れられるのは、ラグジュアリー旅館「星のや(軽井沢、京都の2施設)」、温泉旅館「界(箱根、熱海、伊東、松本、出雲の5施設)」、リゾート滞在施設「リゾナーレ 八ヶ岳」の3業態8施設となる予定。観光業界からの参入は異例で、国内初の“旅館REIT”が誕生することになる。

 星野リゾートは、上場後も売却施設をREITから賃借し、従来通り宿泊施設の運営を行なう。REIT上場時の資産規模は「200億円~300億円となる」(金融関係者)見込みだ。

 星野リゾートは、これらの売却資金をITシステムなどの運営投資へ傾ける予定だ。不動産の所有が外部の投資家に移ることで、星野リゾートにとっては、保有資産を増やすことなく将来の成長資金を調達できるメリットがある。

 今年は、すでにREIT設立を表明している小売り大手イオンなど、新規の大型上場も見込まれる。国内REIT市場が活況を呈することになりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)

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