おいしくなかったら、全額返金します――。
星野リゾートでは、2003年からスキー場施設「星野リゾート アルツ磐梯」で提供するカレーライスに“美味しさ保証”をつけた。
翌年からは、スキーレッスンの「上達保証制度」もつけた。
これは「ビジネスモデル」の型「ハイブリッド・フレーム」に当てはめると「顧客のhow」に当てはまる。保証を約束するのは、どんな目的があるのだろうか。前回に続き星野佳路代表に登場いただき、詳しく聞いた。

星野リゾートの星野代表は米国の経営学者クリストファー・ハートの論文を読んだことがきっかけで「星野リゾート アルツ磐梯」での「全額返金保証制度」を導入したという(対談日:11月5日)。

カレーがおいしくなければ全額返金

川上:前回、星野社長の考えをビジネスモデルで定義すると「顧客満足度と利益を両立させるために、従業員が正しく判断できるようにする仕組み」で、それを実現する経営戦略としてマイケル・E・ポーターの3つのステップを実践しているお話がありました。

星野:はい。100%教科書通りに実践しています。

川上:そうですよね。今回お伺いしたいのは、「全額返金保証制度」です。星野リゾートでは、2003年から経営の立て直しに乗り出したスキー場施設「星野リゾート アルツ磐梯」で、メニューのカレーを食べて「おいしくない」とスタッフに申し出たお客様に商品代金を全額返金していますね。

星野:はい。「おいしくない」と言われた時点でいかなる理由があろうと無条件に返金しています。これは、米国の経営学者クリストファー・W・L・ハートの「サービスの100%保証システム」という論文を読んで実践しました。