顧客満足度調査はスタッフの意識改革につながる

川上昌直(かわかみ・まさなお)     兵庫県立大学経営学部教授 博士(経営学) 1974 年大阪府出身。 01 年神戸商科大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。 同年、福島大学経済学部助教授(呼称変更により准教授)に就任。 08 年兵庫県立大学経営学部准教授を経て、12 年より現職。 初の単独著書『ビジネスモデルのグランドデザイン 顧客価値と利益の共創』(中央経済社)は、13 年に日本公認会計士協会・第41回学術賞(MCS賞)に。 著書に『儲ける仕組みをつくるフレームワークの教科書』『課金ポイントを変える 利益モデルの方程式』(以上、かんき出版) 『まず、のび太を探そう!』(翔泳社)など。 http://wtp-profit.com

星野:星野リゾートは、顧客満足を高めて、同時に利益を上げるべきだという考え方ですが、もうちょっと科学的に分析して、「顧客満足」のどの部分が「利益」に結びつくのか知りたいと思って、94年から施設ごとに定量的な顧客満足度調査を実施しています

川上:星野さんの考え方は、まさに私が定義するビジネスモデルにぴったり当てはまります。今、「顧客満足」だけでなく、きちんと「利益」も生み出すように総合的に判断する経営理論のあり方が求められていますが、星野さんは、それを体現していると思います。そこで顧客満足度調査について、どんな調査をしているのかもう少し教えてください。

星野:始めた当初はアンケート用紙を配っていましたが、今はネットに移行して、アンケートページを作りました。アンケートは自由記入欄を含めて30項目ぐらいあります。分析ツールを独自に開発し、自由記入欄以外はそのツールで自動的に集計できるようになっています。

川上:アンケート項目は、どんな形で抽出されているのでしょうか?

星野:予約のとき、宿泊時、チェックアウトのときに至るまで、施設を利用するそれぞれのシーンでどう感じたか、そして最終的には「全体の満足度」についても数値化できるところは数値化して聞いています。
 スタッフは調査結果をモニターで確認できるので、星野リゾート全体で自分の施設がどこに位置するのか分かります。管理者層が経営判断を下すときの参考にできるのはもちろんですが、スタッフの意識改革にもつながっていると思っています。