ナス それに、考えてごらんなさい。君と同じく青臭いアボカドは今や大人気、苦みの強いゴーヤくんだって頑張っているでしょう。セロリの青臭さと君の不幸は関係ないのです。

セロリ じゃあ、俺は自分に言い訳して、現実から逃げているだけだと?

セロリとゴーヤが<br />『嫌われる勇気』を読んだら

ナス ええ。今の君がすべきことは変わろうとする『勇気』を持つことです。青臭さを理由に現実を悲観することでも、ツチノコを探して一攫千金を狙うことでもありませんぞ!

セロリ よおし、わかった! 俺は変わってみせるぜ! 他の誰でもない、自分の力で変わって……この手に幸せをつかむんだ! 要するにそういうことだよな、ナスのおっさん!

ナス 私の話を理解してくれたようですな。そんな君にプレゼントです。この本をどうぞ。

セロリ ええと……『嫌われる勇気』

ナス それはとてもいい本ですぞ。対話形式の読みやすいかたちで幸福に生きるヒントを教えてくれます。登場人物にドラマがあるので、純粋な小説としても楽しめるでしょう。

セロリ ああ……。さっきから熱く語るなと思ったら、全部この本の受け売りだったのか……。

~時間経過~

セロリ ……パラパラ。ふむふむ。確かに面白いな、この本。登場人物の『青年』が抱える悩みは共感できるところが多いし、そんな彼を諭す『哲人』は辛辣に突き放すようで、言葉の一つ一つに真摯な愛情が込められている。だからこそ信頼関係が芽生えるんだろうな。

ナス 思わずハッとするような考え方が随所に出てきますな。しかも具体的に筋道を立てて教えてくれますから、私のような心理学の門外漢にも内容がスッと入ってきます。

セロリ でも、一つだけ引っかかるところがあるんだよ。個人的にはそこだけ納得がいかない。