さらに今後、心配なのは「フランスとイタリア」(唐鎌氏)だ。ユーロ圏の平均人件費を超えているのが、この2カ国だからである。彼らにとって今のユーロ水準は耐え難く、日本の経験を踏まえれば、これから輸出競争力確保のために人件費を抑制、これもデフレ圧力になってくると予想される。

◆弾切れ◆

5月末の欧州議会選挙で反ユーロを掲げ、大躍進したスペインの新興政党Podemos。共通通貨は揺らいでいる
Photo:REUTERS/アフロ

「これで終わりかと問われれば、その答えはノーだ。われわれはまだ終わっていない」

 マイナス金利を導入した6月、ドラギ総裁はそう期待を持たせるコメントを残した。しかし同時に利下げも行っており、日米と同じ実質ゼロ金利に到達した。利下げカードの残り枚数はゼロである。

 ドラギ総裁は4月のアムステルダム講演で、「われわれの反応関数を一段と単純化している」と述べていた。その反応要素と対応表を示したのが次の図だ。異次元緩和を導入した際の黒田東彦・日銀総裁ではないが、ECBはすでに6月時点で「考え得る政策を総動員」したことが分かる。果たしてQE(量的緩和)以外の策は尽きた。

 それでもユーロ高、物価の低下が進めば、ECBも日米と同様、国債を大量購入するQEステージに突入するのか──。日本には幸か不幸か大量の国債が存在するが、ユーロ圏では訳が違う。これこそ正しく日本との違いであり、ECBの悩みの種なのだ。次の記事以降、これについて検証しよう。

※続きは明日12月3日(水)公開予定です。