ただ、安倍首相も最終的には、公認候補が農政連と政策協定を結ぶことを認めた。というのも、農政連は歴史的に、日本医師会などと並ぶ自民党の有力支持団体で、農政連の票を拒否するのは、選挙上、得策ではないと考えたためだ。

 農政連が、安倍首相の反応や地元の候補者との力関係を踏まえ、政策協定や候補者への質問状の表現を和らげたことも影響した。

 一方で、自民党への怒りが簡単には収まらない地域もある。農協の政治力が強い熊本県では、政策協定の表現が和らげられるどころか、逆に強まった。

 熊本県農政連は11月28日、衆院選の推薦候補者を決める予定だったが、判断を保留した。

 その背景には、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加などに対する反発がある。自民党は、交渉入りに反対する農政連の支援を受けて前回の衆院選を戦い、政権を奪還した。だが、それから3カ月後には、安倍首相が交渉参加を表明した。

 同県農政連は推薦の判断保留から2日後、衆院選の小選挙区と比例代表で、自民党前職5人と次世代の党前職1人の推薦を決めた。

 委員長を務めるJA熊本中央会の梅田穰会長は会見で、「2年前の(TPP交渉参加の)ような形で、なし崩し的にしてもらっては困る」と述べ、政策協定が守られなければ、次の選挙では支援しないことを強調した。

 政策協定には「(農協の理事会といった)ガバナンス制度・(全中の一般社団法人化など)組織形態の転換などは、強制しないこと」という、全国農政連の文書を、具体的にした要求が並んだ。