集票力発揮は不透明。むしろ反感買う恐れ
相互に不信感募る

 しかし、こうした地域レベルの政治運動にもかかわらず、農政連の「踏み絵」戦略が、全中の権限維持につながる可能性は低そうだ。

 自民党関係者は、「協定は努力目標だ。政治に100%の達成はない」と言い切る。

 規制改革担当相として農協改革をまとめた稲田朋美政調会長に至っては、政策協定の締結を拒否しつつ、福井県農政連の推薦は受けるという離れ業をやってのけた。

 安倍首相は現在、党首討論など公式の場では、農協改革を含む規制改革について「(業界団体を)説得し、了解を頂きながらしっかりと前に進めたい」と慎重な言い回しをしている。

 それが政府内では一転、農協改革に並々ならぬ熱意を持つ菅義偉官房長官らと、全中の廃止に向けて「選挙が終わったら徹底的にやる」と決意を固めているという。

 農政連が集票力で、自民党に恩を売れるかも不透明だ。牛肉や乳製品、砂糖といった農業の重要品目を生産する北海道、九州・沖縄には、TPP交渉参加で、自民党に裏切られたと考える農家も多い。

 米価の低迷や、政府主導の農協改革への反発も強く、農協職員の集票活動に力が入るかも疑問符が付く。集票力を発揮できなければ、農政連の「踏み絵」戦略は、農協シンパの国会議員を増やすどころか、政府・与党の反感を買っただけ、という結果にもなりかねない。

 ただ、衆院選後、農協法改正案の議論が間延びすれば、全中にもチャンスがある。来年4月には、農政連の政治力で政権に再び揺さぶりを掛ける好機となる統一地方選挙があるからだ。農協改革をめぐる政府と全中の攻防は、議論のスピードが鍵を握ることになりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)