「有給休暇取得率40%台」への軌跡

 現在、当社の内勤者の6割は女性です。これは同業者に比べるとかなり多い比率です。女性に活躍してもらうには、制度の整備も必要です。

 かつては産休や育児休暇の制度なんて存在せず、私が出産したときには父から「早く帰ってこないとお前のデスクは……」と冗談っぽく言われました。

 出産前は臨月になるまで働き、出産後は1ヵ月休んだだけで復職しました。
 父だけでなく、ベテランの職人が「いままでそんな休みをとるヤツはいなかった」という態度を取れば、会社全体が有給休暇をとりにくい雰囲気になるのは当然。これではいくら会社が有給休暇制度を用意しても、気軽に使う雰囲気にはなりません。

 しかし、現在の石坂産業は、有給休暇取得率が40%に達しています。
 社員が有給休暇を取りやすいよう、通常の有給休暇に加えてバースデイ早退やアニバーサリー休暇、ファミリー休暇、リフレッシュ休暇などの制度を設けたからです。

 会社では、これらの有給休暇取得を社員に義務づけ、年間計画を立てさせます。

 このあたりに対する社員教育も徹底しました。
 言葉の端々に「ワークライフバランス」という単語を入れ込み、人それぞれ多様な働き方があるということを伝えました。

 こうした取り組みの結果、有給休暇の取得率は大幅にアップしたわけです。
(第10回へつづく)

<著者プロフィール>
埼玉県入間郡三芳町にある産業廃棄物処理会社・石坂産業株式会社代表取締役社長。99年、所沢市周辺の農作物がダイオキシンで汚染されているとの報道を機に、言われなき自社批判の矢面に立たされたことに憤慨。「私が会社を変える!」と父に直談判し、2002年、2代目社長に就任。荒廃した現場で社員教育を次々実行。それにより社員の4割が去り、平均年齢が55歳から35歳になっても断固やり抜く。結果、会社存続が危ぶまれる絶体絶命の状況から年商41億円に躍進。2012年、「脱・産廃屋」を目指し、ホタルや絶滅危惧種のニホンミツバチが飛び交う里山保全活動に取り組んだ結果、日本生態系協会のJHEP(ハビタット評価認証制度)最高ランクの「AAA」を取得(日本では2社のみ)。
2013年、経済産業省「おもてなし経営企業選」に選抜。同年、創業者の父から代表権を譲り受け、代表取締役社長に就任。同年12月、首相官邸からも招待。2014年、財団法人日本そうじ協会主催の「掃除大賞」と「文部科学大臣賞」をダブル受賞。トヨタ自動車、全日本空輸、日本経営合理化協会、各種中小企業、大臣、知事、大学教授、タレント、ベストセラー作家、小学生、中南米・カリブ10ヵ国大使まで、日本全国だけでなく世界中からも見学者があとをたたない。『心ゆさぶれ! 先輩ROCK YOU』(日本テレビ系)にも出演。「所沢のジャンヌ・ダルク」という異名も。本書が初の著書。