今年1年を振り返ってみると、すでに発信をしている引きこもり当事者たちが、同時多発的に社会の側とつながりを模索し始めたような年だった。

 行政も、これまでの引きこもり施策に見られたような支援団体や専門家に「就労支援」を委託するだけの取り組みから、家族会などの当事者団体を組み込んだネットワークをつくって、当事者と一緒に向き合って「社会につながるサポートを」という考えに、少しずつだが変わりつつある。

 引きこもっていた当事者が、外に出てくるための第一歩となり、地域の様々な社会資源や支援団体につながるための“居場所”的機能を期待されて、唯一のひきこもり家族会の全国組織である「全国KHJ家族会連合会」の支部や独立した当事者家族会が、全国各地の家族会未設置県に次々に生まれた。

 声を上げる当事者たちの合間で、生きづらさを抱えさせられながらも言葉を封じ込められてきた人たちが、「自分も声を上げていいんだ」と、お互い認識し合えるようになったことも挙げられるかもしれない。

LGBTと引きこもりの関係を取り上げ
反響の大きさに驚く

 異性愛が前提になる社会に生きにくさを感じる「セクシュアル・マイノリティ」と「引きこもり」との関係性を初めて当連載で取り上げたところ、3万を超えるアクセスがあった。

 そんなにアクセスは来ないかもしれないと思っていたら、予想以上に反響が大きくて驚いた。

「私も、記事に登場するセクシュアル・マイノリティの方と同じように、身体的性別、社会的性役割、異性愛至上主義、男女二元論などに強い違和感を持って生きています」

 そんな共感するという読者からのメールも相次いだ。

 社会において、ある種の性のありようが非典型的とされるために、アンフェアな扱いを受けている人たちを指すセクシュアル・マイノリティ。

「性的少数者」「ジェンダーマイノリティ」「性的マイノリティ」などと呼ばれることもある。また、Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)、Transgender(トランスジェンダー)などの頭文字の略である「LGBT」も、セクシュアル・マイノリティに含まれる。