資産と収入、税制などで
バランスの良い国は?

 では海外に出ても資産防衛ができないかといえばそれは違う。1年の半分以上を海外に住んで住所を移せば、居住国に納税することになり、その国の税制が適用されるからだ。

 日本の所得税は15年から最高45%になるが、シンガポールは20%、マレーシアは26%、インドネシアは30%が最高税率である。事業を行っている人は、これらの国に住めば低い所得税で手取りを大きく増やすことができる。
 またシンガポールは金融商品や不動産投資のキャピタルゲインに対して無税。法人税は日本34・62%に対してシンガポール17%と半分。高額所得者にとって夢のような国だ。

 だが移住のハードルは異常に高くなっている。世界の移住情報・査証情報を網羅したサイト「海外移住情報」の管理人の安田修氏が監修した各国の永住・長期滞在査証情報リストを79ページに掲載した。

 シンガポールにはかつて1億円程度の投資で取得できた投資永住権があったが、廃止。現行の投資永住権「GIP」の取得には、シンガポールの金融資産に2億円を超える投資と、年間40億円以上の事業売り上げが必要になった。「単なる資産家では駄目で、大手・中堅企業を経営している事業家でないと不可能」(前出の税理士)。

 それ以外にシンガポールに居住する方法として、2年更新の起業用アントレパスがある。保有資産などの基準は高くないが、経済開発庁に英文ビジネスプランを提出して認可を得て新会社を設立し、ビジネスできちんと収益を上げていく必要がある。

 上表のように1人当たり名目GDPが日本の約1・5倍、面積が東京都23区ほどしかないシンガポールは家賃も物価も高く、生活費は毎月100万円程度は軽く掛かる。それが全く問題にならないほどの収入がない限り、“高嶺の花”だ。

 では資産運用目的で拠点を構えるのに適した国はどこか。海外移住・留学をサポートするアエルワールドの大森健史氏はUAE(アラブ首長国連邦)のドバイ首長国を推す。

 「フリーゾーンという特区で会社を設立すると、なんと50年間は法人税がゼロ。人口200万人で約5兆円もの経常黒字があるドバイの投資熱は凄まじく、アフリカや中央アジアで太陽光発電などのビジネスをする人の拠点にも最適。シンガポールほど物価も家賃も高くない。教育にも力を入れており、世界中のヒト・モノ・カネがドバイに集まりつつある」(大森氏)