研究者の実感に近いTHEランキング
ちょっとした出来事で順位が大変動することも

 研究者である調氏から見て「THE世界大学ランキング」は、どのような存在だろうか?

「案外、研究者としての直感に合った結果が出ていると思います。トップ5、30位くらい、100位くらいを比べてみると、研究の場として、やはり小さくない違いがあります。世界の大学事情に関心ある研究者の『ここはいいね』と、おおむね一致しています」(調氏)

 ただし、大学は「大学」という単位で活動しているとは限らない。研究室・研究グループ・学科・研究所などによる違いも大きい。

「そうですね。『大学という単位で評価することは間違っている』という意見もあります」(調氏)

 2011年秋に発表された「THE世界大学ランキング」には、ちょっとした波紋を呼ぶ出来事があった。それまで500位内に入ったことはなかったエジプトの大学が、いきなり200位内にランクインしたのである。その大学の一人の教授が、自分が編集者を務めている専門分野の専門誌に300本の論文を掲載し、しかも自分の論文を多数引用していたのである。この教授の論文数と引用数が、いきなりのランクアップの原因となった。

「この大学は、それほど研究に注力しているわけではなく、大学全体での論文数は多くはなかったんです。だから、『一人が300本』の影響が大きく出ました。年間1000本の論文を出している大学だと、かなり影響は薄まるんですが」(調氏)

 翌年から、「論文の数が一定数を超えない大学は、ランキングの対象としない」という方針変更が行われ、このような問題は発生しにくくなった。

「でも、『CERNでヒッグス粒子の研究グループに属している研究者がいる大学だから』ということで、ランキングが一気に上がったりすることは今でもあります。重要な論文が何本かあって、1000回以上引用されているものが2本ありますから、それでランキングが上がったんですね」(調氏)