スポーツ観戦の興奮を
上手に捉えるITの仕組み
スタジアムに入れば、ごひいきの選手の情報が即座に手に入る。そのうえ何のためらいもストレスもなしに、気持ちよく財布からお金が吸い取られていく――。
カリフォルニア州オークランドのオラクルアリーナでの試合観戦は、こういう気持ちにさせられる。「ホントに?」と疑われる向きも多いかもしれないが、記者の財布からも心地よくドル札が出ていった。
オラクルアリーナは全米プロバスケットボールリーグ(NBA)、ゴールデンステート・ウォリアーズ(GSW)のホームコートである。GSWではシスコシステムズと組み、ファンとのコミュニケーションとエンゲージメント(愛着心・思い入れ)を強め、その先にあるマネタイズ(収益化)をするために、IoEを活用している。
IoE(Internet of Everything)とは社会インフラを含めたあらゆるモノがインターネットに繋がり、相互に通信する社会のこと。オラクルアリーナではIoEによって、ファンの財布のひもが緩むという現象が現実のものとなっている。
生のスポーツ観戦は気持ちが高ぶるものだ。年に何度も観に来られるわけではないし、せっかく来たんだから楽しみたい。そんな風に、多くのファンは気持ちを高ぶらせる。その高ぶりを捉え、“気持ちよく”消費ができる仕組みが用意されている。
具体的にはアリーナ内の無料Wi-Fiを整備、スマートフォンのアプリケーションを開発、膨大なファンのデータの解析、それに対応するためにシーズンチケット販売やチームグッズ販売部門との連携、アリーナ内の売店との連携などだ。
日本では楽天Koboスタジアム宮城や、東京ドームなどで無料Wi-Fiの整備が2014年夏から始まったばかり。楽天では専用アプリケーションの「At Eagles」で、パ・リーグTVの無料視聴ができたり、プレゼントが用意されたりしている。しかし、GSWの取り組みはより大規模でスマートだと言えるだろう。