米大手IT企業、シスコシステムズはすべてのモノやシステムがインターネットに繋がるIoE(Internet of Everything)を提唱している。今後、10年間でIoEに関連するソリューションによって、19兆ドルもの経済価値を生むと言われている。そのIoEが浸透した社会は、どのような社会なのか。同社によれば、 それは“予測可能”な世界になっていくことだという。社会はIoEによってどのように変化するのか。また、“予測可能”な世界とはどのような世界なのか。同社会長兼CEOのジョン・チェンバース氏のコメントを紹介しながら、シスコの描く世界を覗いてみよう。(取材/ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)
IoEによってIT企業には
巨大な商機が訪れる
「次の10年、フォーチュン500のなかの40%の企業は生き残ることはできないと予想されている。すべての会社はデジタルカンパニーに生まれ変わる必要があり、あらゆるものがインターネットに繋がったIoEの世界で、自社の役割やポジションを見つけなければ、生き残ることはできない」
「変化が続くこと。これが唯一、不変な点だ。ビジネスモデル、モビリティ、クラウド、ビックデータ、セキュリティ、ソーシャルメディア、IoT、アナリティクス……、これらの分野で、同時に、劇的な変化が起こる」
立て板に水のように、大きなジェスチャーでしゃべりまくる。シスコシステムズ会長兼CEOのジョン・チェンバース氏は、約30分間、65歳という年齢を感じさせないエネルギーに満ちあふれたプレゼンテーションを披露した。
IoEはInternet of Everythingの略で、IoTのInternet of Thingsと似た概念だ。身の回りの全てのモノにセンサーが埋め込まれ、インターネットにつながり、相互に通信が可能になる技術や状態、仕組みのことを言う。シスコシステムズは単にモノ(Things)がインターネットに繋がるだけではなく、公共施設・サービスなどを包含する都市などのすべて(Everything)が対象だという考え方から、IoEという言葉を使っている。
IoEによって、膨大なデータがクラウドに集まり、そのデータの分析によって、新たなサービスが生まれることが期待されている。その時、シスコシステムズのようなIT企業にはデータ通信やクラウド、ビックデータ、データアナリティクスなどのソリューションを売る巨大な商機が生まれるのだ。