『週刊ダイヤモンド』

 昨年12月に東京・銀座にアジア1号店をオープンしたアバクロ、もう行かれましたか?

 大音量の音楽が流れる薄暗い店内には、フレグランスの香りが立ち込め、入り口では上半身裸のモデルが、顧客をお出迎え(店員は踊っていて、ほとんど“クラブ”です)。

 「日本は、野心的なブランドと最高の品質を常に求める市場。機が熟したと見て進出した」「オープン初日は、アバクロ史上最高の売り上げをたたき出した」と米国本社のスタッフは本誌の取材に答えています。

 今週号の特集の第2章では、今、最もホットな「ファストファッション」のトレンドを取材し、各社の戦略を紹介します。

 アバクロやFOREVER21、H&M、ZARAはもちろん、今年ついに日本展開を本格化する英国のTOPSHOP/TOPMANの経営戦略も明らかに。同ブランドは、森ビル系のT’sが日本での独占販売権を取得。高橋秀樹社長の話を聞いています。

 これら外資の進出に対抗するユニクロやポイントなど、国内勢の反攻もお伝えします。ユニクロは、生産技術を飛躍させた「匠チーム」の責任者が、ヒートテック誕生秘話を明かしてくれました。

 ここまで2章の話が長くなりましたが、1章、3章、4章では、この不況にもかかわらず、増収増益を続ける小売企業の「売れる」理由を明らかにしています。

 たとえば、家具のニトリは、ここ数年間で不良品率を劇的に低下させましたが、その実現の背景には自動車メーカー・ホンダの元経営幹部や技術スタッフによる生産技術革新がありました。

 また、表紙を飾る埼玉県のスーパーマーケット、ヤオコーでは、「様々な工夫」を施して、パートのやる気と創造性を存分に発揮させ、売り上げ向上につなげています。 

 仕入れや販売方法を任せて「責任をもたせ」、店の収支報告書を開示して「結果を知らせ」、ボーナスを3回出して「成果に応えて」います。

 とんかつの揚げ方など惣菜の料理法について「検定試験」を課し、それをパスすると時給を上げるなど、パートに対しても、販売スキル向上のモチベーションアップ策を導入しています。

 その他、ABCマート(靴)、ダイソー(100円ショップ)、オーケー(スーパー)、阪急キッチンエール(食材の宅配)、コメリ(ホームセンター)、あさひ(自転車)、モンベル(アウトド用品)などなど、絶好調企業を徹底分析しています。

 中小の小売店や飲食店のオーナーは、メトロ(ドイツ卸大手)のコラムが必見です。長時間経営で超大型のこの卸店を活用すれば、早朝の仕入れを回避でき、「睡眠時間が長くて、楽になった」という経営者が店内には何人もいました。

 各社とも、「安さ」でライバルに負けないのは当然で、価格以上の「何か」(α)で、顧客の支持を集めています。消費不況を乗り越える「売れる」方法を提示します。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 大坪 亮)