筆者のCPI予測は、原油価格(ドバイ原油)が2015年末に70ドル/バレルに戻ることを前提としている。この場合、コアCPI前年比変化率は2015年5月に+0.4%までプラス幅が縮小するが、その後は上向き、2015年12月に+1.0%に戻る。

 しかし、「30ドルケース」(2015年末に向けて原油価格が30ドル/バレルに下落)では、コアCPIのプラス幅はじりじりと低下し、2016年1月には約3年ぶりにマイナスに転じる。

 原油価格30ドル/バレルは、筆者のメインシナリオではない。しかし、実際に2004年前半の原油価格は30ドル/バレル程度であり、あり得ない水準とは言えない。前述したサウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源大臣の発言も踏まえると、「原油価格30ドル/バレルでコアCPIは前年比マイナスへ」という関係を押さえておく価値はあるであろう。

「2次効果」のシミュレーション:
2年目にはCPI押し下げ圧力は減衰

 一方、中長期的には原油価格下落の「2次効果」が現れることで、CPIに対する下げ圧力は弱まるはずだ。これを計算するには、マクロモデルを使うしかない。

 足もとの原油価格は、直近ピークである6月からすでに50%ほど下がっている。そこで、原油価格50%下落というショックを筆者のマクロモデルに与えると、CPIは1年目に-1.17%と、非常に強い下方圧力に晒される(図表4参照)。

注:一定の外生的ショックがシミュレーション期間に続いた場合の標準ケースからの乖離率(%)ないしは乖離幅(%ポイント)を表示(サステインド・チェンジ・シミュレーション)。
出所:バークレイズ証券作成
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 しかし、同時に1年目の実質GDPが0.56%押し上げられることで、CPIへの下方ショックは2年目には+0.10%とほぼ消える(CPIは、実質GDPの遅行指標であることに注意)。これが2次効果だ。