厚労省が導入を検討している「ホワイトカラー・エグゼンプション」。最近よく耳にするけど、どういうものかよくわからない人は多いはず。果たしてワーク・ライフ・バランスの改善につながるのだろうか? それとも、ますます労働者を苦しめる制度か? 150年前に書かれた『資本論』でも予言されていた、資本主義が必然的に向かう労働者の過酷さとは?
先日、こんなニュースが流れました。
これは、要するに、特定のホワイトカラー人材には、残業代を支払わなくてもいいようにするという意味です。
金融機関のディーラーなど、労働時間を自分の裁量で決めやすい職種が「残業を払わなくていい対象」となる見通しです。
この制度は以前からも導入が検討され、その都度批判の対象になっていました。そして、このニュース発表後、また物議を醸しています。
田村憲久厚労相は記者会見で、「成果をはかり、効率的に働くことが、ワーク・ライフ・バランスの改善につながる」、という主旨のコメントをしています。
つまり、労働時間ではなく、成果で給料を払うことが、労働者のメリットになる、ということです。
たしかに、その側面はあるでしょうが、労働者から見たら「労働条件の改悪」であることは否めないでしょう。労働組合側も、労働時間が長くなるという強い懸念を出しています。
しかし、この制度で労働者が気をつけなければいけないのは、「長時間労働」だけではありません。今でも、まともに残業代を払っている企業は少数で、当たり前のように残業代なしの超長時間労働がまかり通っています。
そう考えると、「今と変わらない」とも思えます。しかし、今回の制度は、気をつけなければ新たに労働条件を悪くする可能性を孕んでいます。
『資本論』を書いたカール・マルクスが、150年前に、すでにその危険性を指摘していました。