(4)「経済合理性は大丈夫ですか」
また、税理士からはこうも言われます。「税務署から、取引の経済合理性がないと言われかねません」
経済合理性とは、具体的に何を言うのでしょうか。ポイントは「なぜ、その取引をするのか」「価格が妥当かどうか」の2つです。
「なぜ、その取引をするのか」という点については、売り手、買い手の双方に理由がなければなりません。売る側の理由は簡単です。「財務体質の改善」です。含み損がある不動産、不要な資産を削ることで筋肉質な体型になるのです。人間であれば脂肪を落とす、刀であればサビを落とすことはごくごく自然な考え方ではないでしょうか。
一方で、これを買い取る子会社は、不動産の管理会社として運営します。本業と不動産管理を切り分けて、それぞれに注力するのです。いわば、「事業の選択と集中」を行うのに、何も不合理なことなどないはずです。
税務調査では、しばしば「取引価格の妥当性」を問題視します。「高過ぎる」「安過ぎる」ということです。取引価格にお墨付きを与えるのに一番よいのは、不動産鑑定士に評価してもらうことです。費用はかさみますが、のちの税務調査のことを考えれば、土地も建物もきちんと評価してもらうべきでしょう。
ちなみに、不動産の評価というのは、誰が評価するかによって変わってきます。複数に依頼しておいて、低いほうを採用するということでもいいでしょう。不動産鑑定士は、不動産評価のプロフェッショナルです。そのプロが計算する価格以外に、合理的なものはないのです。
「できない。聞いたことがない。やったことがない」など、“ないない”と言っていても仕方ありません。すぐに実行に移すことです。