また「飲み会になど参加したくないし、行ったって上司と話す気にならない」という部下も、「飲み会じゃなければ、ぶっちゃけた話ができない」という上司も、どちらもコミュニケーション不全を引き起こす。本当に大切なのは、Bさんが示したように、職場という限られた時間でのコミュニケーションであっても、相手と理解し合えるだけのスキルだ。「コミュニケーションの場」をつくることだけに一生懸命になっても、職場は不機嫌なままである。

 部下が飲み会に参加しないならば、仕事の中で部下から情報を引き出し、相互理解を深めるように努めるのが上司の役目だし、上司との会話の中で多少そりの合わない部分があっても、きちんと向き合って話し合うのが部下の役目だ。

 インターネットをはじめ、今の多くのコミュニケーションツールは、情報を「好きなときに発信して、好きなときに受けとる」ことができる。これはこれで大変に便利な機能だが、一方で、実際の会話のようにリアルタイムで話をし、自分の伝えたいことを伝え、相手の伝えたいことを受け止める、そして誤解があったらそれをキチンと正す、というトレーニングをする機会が減っている。相手との誤解が生じたり、感情的になったりした場合、ネットのときと同じように、コミュニケーションを絶ってしまう。それが前述のCさんの例である。

夫婦円満の秘訣は「しゃべること」
コミュニケーションは内容と効率性

 数年前、ミュージシャンの吉田拓郎と坂崎幸之助がやっているラジオの深夜番組にゲストで竹内まりやが来ていたときの話を、聞いたことがある。

 竹内まりやは夫の山下達郎と共に、ヒット曲をコンスタントに出し続け、シンガーとしての評価も高い。夫婦共同で常にクオリティの高い仕事をしている。当然不仲ならば、そのようなクオリティは保てない。

 番組の中で、竹内まりやが夫婦円満の秘訣を尋ねられたとき、帰ってきた答えはこうだった。「もう、しゃべることですね。一晩中でもしゃべってる」。

 森下愛子との結婚生活が長い吉田拓郎も、これに同意していた。「ウチもそう。とにかく、会っていればしゃべる。ずーっとしゃべる。声枯れるくらいしゃべってる(笑)」。

 チームで良い仕事をするためには、コミュニケーションを絶ってはいけない。そして、当たり前のことだが、コミュニケーションの場をつくるだけでは不十分で、その内容と効率性こそが最も大切なのだ。