部下とコミュニケーションがとれない
「コミュ力」の不足に戸惑う管理職たち
先日、ある組織の管理職研修をお手伝いさせていただいた。
その中で、30人ほどの参加者を5人ずつ、6つのグループに分け、「あなたの組織を理想的なものにするためには何が必要か?」という問いについてグループごとに議論してもらった。
そのとき、6グループ中5グループで挙がった項目が、
「コミュニケーションをとれる」
「ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)をしっかりやれる」
というものだった。聞くと部署内でのコミュニケーションがほとんどないケースもあり、管理職の立場からすると、特に若い世代とのコミュニケーション不足を多々感じるということだ。
今、企業の採用面接でも最も重視されるポイントの1つがコミュニケーション力、いわゆる「コミュ力」だ。コミュ力とはその名の通り、他者とコミュニケーションできる能力を指すが、その正確な定義は明らかではない。
コミュ力という言葉が頻繁に使われるのは、主に就職活動のときだ。「コミュニケーション能力のある人材を企業は求めている」ということは、もはや常識のように語られる。
しかし、しばしば企業の求めるコミュ力とは「御しやすい、従順な人材」や「第一印象のよい人物」を指す場合が多い。求める人物像を明確にできない企業の言い訳として、コミュ力という言葉を使っているだけだ、という意見もある。
冒頭の例で出てきたコミュニケーション能力は、ごく基本的なものだ。ほう・れん・そうの大切さは新米社会人が上司と行なう最も基礎的なコミュニケーションであり、最も大切なものである。それができてないと感じる管理職が多いとなると、やはり基本的なコミュニケ―ションができない若い社員が多いと判断せざるを得ない。